上海の自由貿易区の越境ECについて
越境ECについて、話題になって、10年近くの歳月がすぎました。私の上海の会社では、工商管理局より、企業登記代理の資格ももらっていましたので、多数の企業登記をした実績があります。
基本的に、中国でECビジネスをする際には、営業許可書の範囲に「電子商務」の定款が入っていることが条件になっています。これは、中国国内での販売を主たる業務にしている企業は、これを取得する必要があります。
この業務に関しては、外資規制があるので、外資は、ほぼ参入ができません。よって、外国企業の経営でおこなっているようにみせていますが、投資者が中国人である場合がほとんどです。
聞くところによると外資でも数社許可が出たという話を聞いていますが、ほぼ、一般的な企業が外資で申請しても許可が下すことができません。
やり方としては、中国人出資の100%内資企業を作ることが条件です。営業許可証に関しては、外国人を法人代表にすることができますが、株を持っていない雇われの法人代表という立場になります。
その場合ですと、地方の工商管理局の許可でも電子商務を取得することができます。通常、外資で電子商務の許可申請は、北京の商務部の許可を取得することという条件付きですので、国の許可まで取ってECショップを独自サイトで経営する人はなかなかいないのが、現実的な話です。※普通許可がおりません。
さて、新しく始まった上海の自由貿易区の越境ECシステムですが、これは、まったくそんな資格を必要としていません。究極を言えば、個人まで参入することができます。
しかし、条件付きです。自社のサイトではなく、上海市政府の管理したサイト内のアカウントをもって出店することが条件になっています。
簡単に言えば、登録制で、出展者が、法人、個人を問わないというところがすごいところです。
どうせ、タオバオの個人売買のサイトで、無断に越境ECをするなら、市政府の管理サイトの中で、それをして、きちんと郵便用の関税を払うなら、やってもいいよ。というのが、今回の制度です。
中国人留学生がアルバイトで始めた越境ECビジネスが、あまりにも巨大市場になり、それに対して、工商管理局や税関からクレームになったことが、今回の制度を作った原因になっています。
ですから、個人の参入を認めているという点が、過去になかった制度です。
しかし、市政府が決めた物流会社で輸送して、決められたECサイト内での運用だけを認めているので、管理された越境ECになります。
しかし、今まで面倒だった手続きが一切いらなくなったという点が特筆できる点だと思います。